大正期の「香港夜景」

「香港夜景」のロケーション ブレマーヒル説



香港日本人倶楽部福光氏による解説
「香港島のブレマーヒル山頂からビクトリア湾と対岸の九龍半島を俯瞰した」も
ので、手前の中央がジャーディンマセソン商会が所有せる太古(タイクーという
地名)の工場・ドッグ群。手前右手がシャウケイ湾、左手が北角(パッコと読む
)地域。また、湾の向う側が、埋め立て建設中の啓徳空港(1998年閉鎖)。
啓徳空港は、1916年から1920年にかけて建設されたので、加藤画伯の画
が大正期のものであればピッタリの風景です。なお、太古地域は、香港島の、ビ
クトリア湾に面した海岸線の一番東側に位置し、現在は日本人が最も多く住んで
いる地域です。




「香港夜景」のロケーション ビクトリアピーク説



この画を初めて見たときに「これは本当に香港?」といった印象を抱きました。
現在の香港はご承知のように巨大超高層ビルが立ち並び、しかも、当時に較べて
埋め立ても相当進んでいますので、この画の風景は現地でも望む事が出来ません
そこで、当時の写真や地図がないかどうか調べてみたところ、下記のリンク先に
1960年のパノラマ写真と1933年の香港の地図を見つける事ができました

香港パノラマ写真

この写真は1960年(昭和35年)の香港をビクトリアピークから撮影したと
あります。広角レンズ特有の樽形状歪がありますので、頭の中で補正をしながら
画と比較をすると構図等がかなり似ていると思いました。しかし、詳細部分では
九龍半島の形状が若干違っていたり建物もかなり多く見えます。1960年でも
すでに埋め立てやビル建設が相当に進んでいたためと考えられます。

昭和初期香港地図

この地図は1933年(昭和8年)の香港で上記パノラマ写真の時代よりかなり
前の大正期に近いものです。当時、九龍半島にはほとんど市街地は無かったよう
です。また、同半島の埋め立てもパノラマ写真ほどでなかったことがわかります
以上のことから推測するに、「香港夜景」の画はビクトリアピーク付近から九龍
半島を望み描かれたと思われます。






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